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人類は大昔から、「不老不死」を夢見てきました。紀元前2000年ころにはあったとされる、メソポタミアの『ギルガメシュ叙事詩』に不老不死説話は見つかり、中国では始皇帝(紀元前3世紀ころ)が不老不死の仙薬を求めたことが知られます。
ただ、人間の寿命は徐々に延びてきているとはいっても、現在は平均約80歳。実際には、「不死」などはるか遠い存在です。しかし、「不老」というテーマは、近年の研究でずいぶん進んでいることをご存じでしょうか?
「若く健康なまま長生きができる」そんな可能性があるとしたら…。そのキーワードとなるのが、「NMN」という成分です。

研究者が関心を寄せる
「NMN」

NMNとは、「ニコチンアミドモノヌクレオチド」の略称。ビタミンB3からつくられ、生物の体内にもともと存在している物質として知られています。
このNMNですが、日本で一般にこの成分が知られるきっかけとなったのは、2015年に放送されたNHKのドキュメンタリー番組『ネクストワールド 私たちの未来』でした。このシリーズの第二回のテーマであった「寿命はどこまで延びるのか」の中で、「若返りの薬」の成分として紹介されたのです。
ここで言及されたのが、ワシントン大学の今井眞一郎教授や、ハーバード大学のデビッド・A・シンクレア教授の研究です。いずれもマウスによる実験結果ですが、このような長寿研究の第一人者たちによるNMNに関わる驚きの研究結果を少し見ていきましょう。

驚きのマウス
実験データ

まず、この番組でも紹介された、ワシントン大学の今井眞一郎教授の研究では、糖尿病のマウスにNMNを投与すると、膵臓の機能が改善し、糖尿病に対して効果が見られました。その後の研究でも、マウスに1年間NMNを飲み水に溶かして経口投与することで、①骨格筋の状態が改善する②エネルギー代謝能力が改善する③光・色共に視覚機能が改善する④ミトコンドリアの機能が高まる、などの効果が明らかになるなど、様々な身体機能の改善に関わるデータがマウス実験では出てきています。

一方、ハーバード大学のデビッド・A・シンクレア教授の研究では、生後22か月のマウスにNMNの投与を1週間続けたところ、細胞の活性化レベルが、生後6か月のマウスの値にまで改善したというデータがとれました。人間の年齢に照らし合わせると、60歳が、20歳くらいの能力まで高められた、ということになります。このときの実験では注射により結果が得られましたが、その後エサからの摂取でも同様の効果があるとわかっています。

NMNの
可能性への仮説

上記のような研究結果に対して、研究者たちが口をそろえて言うのは、NMNが老化に対して影響を与えているのではないか、ということです。マウスの糖尿病が改善されたのは、老化しておとろえていた膵臓の機能が若返ったからではないか、と。

少し専門的な話になりますが、寿命についての研究では、「サーチュイン(Sirtuin)遺伝子」という遺伝子が、老化をおさえ長寿をつかさどるのではないかといわれています。この遺伝子は、「サーチュイン」というたんぱく質をつくりだし、このたんぱく質がDNAに働きかけ、寿命を延ばすと考えられているのです。(※否定する報告もあり確定した効果とは言えません)
ただ、これらのサーチュイン遺伝子は、普段は機能せず眠っています。とすると、この遺伝子たちを活性化させることができれば、老化が抑えられるのではないか。

それを可能にするものとして、今、NMNが語られています。
ヒトには7種類のサーチュインが存在すること、さらにはその7種類のサーチュインのすべてを活性化するものとして、「NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」という物質があることが発見されてきました。ただ、このNADは、絶食や運動によって増えることはわかっているのですが、年齢を重ねるとともに減少する一方であるとされています。
そこで目を付けたのが、NMNでした。NMNも、もともと生物の体内で存在し、年齢とともに減ってしまうと考えられている点はNADと同じですが、NMNは野菜などの食品にも含まれており、摂取することで、体内でNADに変換されることがわかっているのです。
こうして、摂取したNMNがNADに変わり、そのNADがサーチュインを活性化させることができるのではないか。これがNMNを研究者たちが若返りとの関連性で上げる仮説なのです。

これからのNMN研究と
人類の未来

世界中の研究者が、現在もNMNと長寿の関係を熱心に調べており、ヒトでの臨床試験もまさに進んでいる最中。まだまだ確かなことが語られているわけではありませんが、最後に、いくつかの最新の情報もここに記載をしておきたいと思います。

慶応義塾大学とワシントン大学の研究グループは、2019年11月に『Endocrine Journal』誌に掲載された研究において、NMNが健康なヒトに対して、安全に投与することが可能であることを世界で初めて発表しました。これまでは、動物に対する研究でのデータしかありませんでしたが、ヒトに対する研究結果としての第一歩となるでしょう。

また、同じ2019年には、先にも紹介したデビッド・A・シンクレア教授が寿命についての考えを述べた著書『LIFESPAN 老いなき世界』が発売し、ベストセラーに。この中でもNMNについては度々言及されています。あくまでも研究データではなくまわりで起きた事例としてですが、①シンクレア教授のお父さんが、NMNを飲み続けたところ、見違えるほどに元気になった②生徒のお母さんがNMNを飲み続けたところ、閉経したと思っていた月経が再開した、などこれまた驚くべき情報が並べられています。こちらの本は、2020年9月には日本でも翻訳が発売され、米国同様アマゾンのベストセラーになるなど、注目が高まっています。
繰り返し述べているように、まだまだ研究は途上、起こった出来事を全てうのみにすることはできません。ただ、寿命研究のなかで、NMNは世界中の研究者たちの関心をかい、今もなお新たな発見が日々生み出されています。これから明らかになることや、否定されることも含めて、NMNの可能性と、人類の未来に思いをはせてみるのも面白いのではないでしょうか。

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